INTERVIEW
パワープレートは理学療法やリハビリに使える?
治療後の「もう一度動きたい」を支える可能性
聞き手: P SQUARE編集部|2026年7月24日
この記事で分かること
- 理学療法とP SQUAREの運動指導の違い(治療はできません)
- 靱帯断裂後に正座できなかったトレーナー自身の体験
- 治療後の運動復帰でパワープレートができること・医師に相談すべきケース
Googleで「パワープレート」と検索すると、関連する言葉として「理学療法」が表示されることがあります。パワープレートは、医療機関やリハビリテーションの現場でも研究・活用されている機械です。
では、パワープレートに乗れば、けがや病気が治るのでしょうか。もちろん、そうではありません。
理学療法は、けがや病気、高齢、障害などによって低下した運動機能の維持・改善を目的として、運動や物理的な刺激を用いる治療法です。理学療法士は国家資格を持つ専門職であり、医師の指示に基づいて医学的なリハビリテーションを行います※1。
P SQUAREは医療機関ではなく、服部トレーナーも医師や理学療法士ではありません。そのため、けがの診断や治療はできません。
一方で、治療が終わり、医師から運動の許可が出たあとも、「関節が動かしにくい」「けがをした場所へ力を入れるのが怖い」「日常生活では何となく不自由が残っている」「以前の競技や運動へ戻れる自信がない」「もう一度やりたいことがある」という方はいます。
今回は、パワープレートが理学療法やリハビリテーションの分野でどのように研究されているのかを確認しながら、P SQUAREが治療後の運動復帰をどのように支えられるのか、服部トレーナーに聞きました。
P SQUAREでは理学療法や治療を受けられますか?
聞き手: 「パワープレート 理学療法」と検索する人がいるようですが、P SQUAREでは治療や理学療法を受けられるのでしょうか?
治療はできません。私は医師でも理学療法士でもないため、けがや病気を診断したり、治療したりすることはできません。
理学療法士は、医学的な評価に基づき、座る、立つ、歩くといった基本動作の回復や維持を支える専門職です。P SQUAREで行っているトレーニング指導とは、資格も役割も異なります※2。
ただし、治療が終わり、医師から運動してよいと許可を得た方へ、身体をどのように動かすか、どの程度の強度から始めるか、不自由に感じる動作をどう練習するか、競技や日常生活へどう戻していくかを一緒に考えることはできます。
治療が完了したことと、本人が理想どおりに動けることは、必ずしも同じではありません。そこから先の「もう一度動きたい」を、運動指導の立場から支えることがP SQUAREの役割です。
パワープレートにほれ込んだきっかけは、自分のけがだった
聞き手: 服部トレーナーが、パワープレートに大きな可能性を感じたきっかけは何だったのでしょうか?
実は、私自身のけがです。
20歳の頃に靱帯を断裂し、手術を受けました。手術後のリハビリも大変でしたが、その後も足首が固まり、正座ができない状態になっていました。
何とか柔らかくしようと思い、お風呂の中で足首を伸ばしたこともあります。身体が温まっていれば動きやすくなると思い、痛みに耐えながら何度も曲げようとしました。でも、痛みが強くて続けられませんでした。
足首を伸ばそうとすると、以前に感じた痛みへの怖さが出てきます。身体が反射的にこらえ、力を入れてしまうんです。伸ばしたいのに、痛みへの恐怖から身体が抵抗する。結果として、足首は硬いままになってしまいました。
痛くて動かなかった足首が、10分で正座できた
聞き手: その足首と、パワープレートがどのようにつながったのでしょうか?
初めてパワープレートを使ったとき、足首がいつもより動きやすいことに気づきました。そこで、「今なら、正座ができるかもしれない」と思い、パワープレートの振動を利用しながら、ゆっくり足首を伸ばしてみました。
すると、あれだけ痛みを我慢しても曲がらなかった足首が、少しずつ伸びていったんです。強い痛みはほとんどありませんでした。無理に押し込んだのではなく、身体の反応を確認しながら、少しずつ動かせる範囲を広げました。
最終的には、約10分で正座ができるところまで足首が動きました。
聞き手: 一度で完全に治ったのでしょうか?
いいえ。翌日には、また少し曲がりづらくなっていました。一度動いたからといって、長年固まっていた足首が完全に元へ戻ったわけではありません。
それでも、「この足首は、もう動かないわけではない」と分かったことが大きかったんです。
パワープレートを使いながら、何度も繰り返しました。その結果、現在は普通に地面を蹴って走れます。以前は水泳のバタ足でも足首が曲がらず、水をうまく後ろへ押せませんでしたが、それもできるようになりました。
一番うれしかったのは「柔らかくなったこと」ではない
聞き手: 足首の可動域が戻ったことが、パワープレートにほれ込んだ理由ですか?
もちろん、それもうれしかったです。パワープレートによって、復帰を早められる可能性があること。痛くてつらいリハビリテーションの負担を、和らげられる可能性があること。これも非常に大きな価値だと思いました。
でも、私が最も可能性を感じたのは、そこではありません。
自分ではもう無理だと諦めていたことを、取り戻せるかもしれない。そう感じられたことです。
正座ができないことに慣れてしまい、もう一生できなくても仕方がないと思っていました。ところが、実際に足首が動き、正座ができました。
その経験から、もう一度走りたい、競技へ戻りたい、日常生活の不便を減らしたい、昔できていたことへ再挑戦したい——と考えている方にも、まだできることがあるかもしれないと思ったんです。
パワープレートがすべてを解決するわけではありません。それでも、諦めていた可能性を探すための道具にはなり得る。そこに魅力を感じました。
なぜ、痛みを我慢したときより動かしやすかったのか?
聞き手: お風呂では痛くて動かなかった足首が、パワープレートでは動かしやすかったのはなぜでしょうか?
私の経験から考えられることの一つは、振動によって痛みの感じ方が変わり、身体の力みを減らしやすかったことです。
強い痛みが出ると、身体はその場所を守ろうとします。足首を曲げたいと思っていても、痛みへの怖さから、周囲の筋肉へ力を入れて動きを止めます。パワープレートでは、振動を受けながら少しずつ動かすことで、痛みに意識が集中しにくくなり、余計な力を抜きやすかったのではないかと考えています。
ただし、これは私自身の体験から考えた現場での仮説です。足首の状態や痛みの原因は人によって違います。同じ方法を行えば、誰でも10分で正座できるという話ではありません。
聞き手: 痛みを我慢して動かす方法ではないのですね。
むしろ逆です。P SQUAREでは、痛みが出たら身体からのNGサインだと考え、そこで中止します。無理に限界を突破するのではなく、痛みなくできる範囲を確認し、その範囲を少しずつ広げていくという方向性を重視しています。
パワープレートはリハビリテーションの研究でも使われている?
聞き手: 服部トレーナー個人の経験だけでなく、医療やリハビリテーションの研究でも、全身振動トレーニングは使われているのでしょうか?
さまざまな分野で研究されています。ただし、結果は対象となる病気やけが、振動方式、運動内容によって異なります。
例えば、変形性膝関節症を対象にした研究では、通常の運動療法へ全身振動トレーニングを追加することで、痛みや膝を伸ばす筋力などに改善が見られた報告があります。一方、すべての身体機能で明確な追加効果が出たわけではありません※3。
脳卒中後の方を対象とした2024年のメタ解析では、筋緊張、運動機能、バランスに一定の改善が報告されましたが、歩行、日常生活動作、生活の質では明確な効果が確認されませんでした※4。
聞き手: 「リハビリテーションに使われているから、何にでも効く」というわけではないのですね。
そうです。研究で効果が出ている分野はありますが、パワープレートだけですべての機能が戻るわけではありません。
大切なのは、誰が使うのか、何を取り戻したいのか、どの動作を練習するのか、どの姿勢で振動を受けるのか、通常の運動とどう組み合わせるのか、です。パワープレートは、リハビリテーションそのものではなく、目的に合った運動を行う際の補助ツールとして考えるべきです。
パワープレートへ乗るだけで、身体機能は戻りますか?
聞き手: 振動を受けるだけでも、筋肉へ刺激が入るのでしょうか?
何もない状態よりは、姿勢を保つために筋肉が反応します。ただし、単純に乗るだけでは、その人が取り戻したい動作へ十分につながらない場合があります。
例えば、正座をしたい、階段を上りたい、片足で身体を支えたい、地面を蹴って走りたい、水泳のバタ足をしたい——では、必要な関節の動きも筋肉の使い方も違います。
だから、P SQUAREでは最初に、最終的に何ができるようになりたいのかを聞きます。機械へ乗ることを目的にするのではありません。その人が望む動作へ近づくために、パワープレートをどのように利用するかを考えます。
治療後の運動では、何を最初に確認しますか?
聞き手: けがから運動へ復帰したい方が来た場合、最初に何を確認しますか?
まず、医師から運動の許可を得ているかを確認します。
治療が終わっているのか。本当に運動を始めてよい状態なのか。どのくらいの強度まで許可されているのか。ここを曖昧にしたまま、トレーニングを始めることはできません。
そのうえで、ご本人の理想を聞きます。日常生活の不便を減らせればよい、仕事へ支障なく戻りたい、競技へ復帰したい、昔諦めたことへもう一度挑戦したい——目標によって必要な運動は変わります。
同じけがでも、買い物へ歩いて行きたい人と、競技で全力疾走したい人では、目指す強度がまったく違います。
痛みが出ても、リハビリだから我慢すべき?
聞き手: 可動域を戻す運動では、多少の痛みを我慢しなければならないイメージがあります。
P SQUAREでは、痛みが出たらそこで中止します。痛みは、身体から出ているNGサインだと考えています。
もちろん、筋肉を使った疲労感や、普段使わない場所を動かす違和感はあります。しかし、けがをした場所に明確な痛みが出ているのに、「リハビリだから我慢しましょう」と押し進めることはしません。
無理に動かすのではなく、痛みなくできる範囲を探します。その範囲で、少しだけ体重を乗せる、関節を小さく動かす、姿勢を維持する、左右差を確認する、振動の強さを調整する、といった方法を使い、できる範囲を広げていきます。
私自身、痛みを怖がって身体を固めてしまった経験があります。だからこそ、無理に痛みを突破するより、動かしても大丈夫だという感覚を、身体へ少しずつ覚えさせることを大切にしています。
どのようなときは、医師へ相談するべきですか?
聞き手: 運動を始めたあと、どのような場合はトレーニングを続けず、医療機関へ相談するべきでしょうか?
医師が治療完了と判断し、運動の許可が出ていることを前提にトレーニングを始めます。そのうえで、痛みが繰り返し出る、しばらく続く、以前より状態が悪くなるといった場合には、医師へ相談してもらいます。
P SQUAREで、痛みの原因を診断することはできません。運動方法を変えることで対応できるのか、医療的な確認が必要なのか、勝手に判断してはいけない部分があります。
少しでも治療が必要な可能性があるなら、まず医師へ相談する。そのうえで、運動してよい範囲が分かれば、その条件に合わせて内容を考えます。
理学療法とP SQUAREの役割はどう違う?
聞き手: 理学療法とP SQUAREの運動指導を、どのように区別すればよいでしょうか?
大まかに言えば、理学療法は医学的な評価と治療の中で、基本動作能力の回復や維持を支援するものです。理学療法の多くは医療機関や介護保険関連施設で、医師の指示に基づいて行われます※1。
P SQUAREは治療を行う場所ではありません。私たちができるのは、医療上の治療が終わり、運動の許可が出た方と一緒に、残っている動きにくさを確認する、日常生活の不便を減らす、運動を再開する、競技復帰へ向けて身体を作る、もう一度やりたいことへ挑戦する、ための運動方法を考えることです。
病院での治療がゴールになる人もいます。一方で、「治療は終わったけれど、まだ自分の理想どおりには動けない」と感じる人もいます。その先にある目標を一緒に探し、運動でできることを試す。それがP SQUAREの役割だと考えています。
パワープレートが復帰支援に向いている理由は?
聞き手: 通常のトレーニングと比べて、パワープレートにはどのような利点がありますか?
運動の強度を細かく調整しやすいことです。
例えば、立って運動することが難しい人でも、椅子へ座って足を乗せる、手すりにつかまる、両足で支える、片足へ少しずつ荷重する、小さな関節運動から始める、といった方法があります。
反対に、競技復帰を目指す方なら、片足立ち、ランジ、スクワット、素早い重心移動、ジャンプやステップ、競技動作に近い姿勢へ段階的に進められます。同じ機械でも、その方の状態と目標に合わせて、内容を大きく変えられます。
また、私の足首のように、痛みや怖さで力が入っている方の場合、振動を利用しながら身体の力を抜き、動かせる範囲を探しやすいこともあります。
ただし、振動を受ければ自動的に動けるようになるわけではありません。どの動作を取り戻すために、どこへ刺激を入れるのかを考える必要があります。
P SQUAREが大切にしているのは「元へ戻す」だけではない
聞き手: けがからの復帰というと、以前の状態へ戻すことが目標になるのでしょうか?
もちろん、以前できていた動きを取り戻すことは大切です。でも、その人の理想は一人ひとり違います。
日常生活の不便が減れば十分という人もいます。競技へ復帰したい人もいます。一度諦めた運動へ、もう一度挑戦したい人もいます。
大切なのは、こちらが勝手にゴールを決めることではありません。本人が、どこまでできるようになりたいのか。そこを聞いて、一緒に可能性を探します。
治療が終わり、運動の許可が出ていても、自分の動作に不自由さを感じている人はいると思います。その不自由さを当然のものとして諦める前に、まだ動かせる範囲はないか、力の入れ方を変えられないか、身体の怖さを減らせないか、別の方法なら挑戦できないか、を一緒に考えられたらいいですよね。
まとめ: パワープレートは治療機器ではなく、可能性を探すための道具
パワープレートは、医療や理学療法、リハビリテーションの分野でも研究されています。変形性膝関節症や脳卒中後など、一部の対象では、通常の運動療法へ全身振動トレーニングを加えることで、痛み、筋力、運動機能、バランスなどに改善を示した研究があります。一方で、すべての症状や機能に明確な効果が確認されているわけではありません※3。
パワープレートに乗れば、けがや病気が治るわけではありません。P SQUAREも、治療や理学療法を行う医療機関ではありません。まず医師の診断と治療を受け、運動の許可を得ることが前提です。そのうえで、治療後も動きにくさが残っている、日常生活の不便を減らしたい、運動や競技へ復帰したい、諦めていたことへもう一度挑戦したい、という方に対して、運動の立場からできることがあります。
服部トレーナー自身も、靱帯断裂後に固まった足首が、パワープレートを使うことで動かしやすくなり、約10分で正座できるところまで変化しました。翌日には再び動きにくさが戻りましたが、繰り返すことで、現在は走ることも、水泳でバタ足をすることもできています。これは、すべての人に同じ結果が出ることを保証するものではありません。しかし、もう動かないと思っていた身体にも、まだ取り戻せるものがあるかもしれない。その可能性を示した経験です。
P SQUAREでは、痛みを我慢させるのではなく、痛みなくできる範囲を探し、その範囲を少しずつ広げます。治療をするのではなく、その人の理想を聞き、「もう一度、何ができるようになりたいのか」を一緒に考えます。パワープレートは、治療を代わりに行う機械ではありません。治療後の身体で、もう一度できることを増やすための補助ツールです。諦めていたことを取り戻せる可能性を、一緒に探してみませんか。
参考文献・出典
- 日本理学療法士協会: 理学療法とは japanpt.or.jp
- 日本理学療法士協会: 理学療法士とは japanpt.or.jp
- 変形性膝関節症への運動療法+全身振動トレーニングの研究 PubMed 39928683
- 脳卒中後の全身振動運動に関するメタ解析(2024) PubMed 38322612
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